シリーズ第1弾:もっと知ろう!考えよう!『全国通訳案内士』

本シリーズについて

全国通訳案内士をもう一度考える

2018年1月の通訳案内士法の改正から約1年。規制の緩和や試験の難易度の上昇など、2018年は既に資格を持っている方にとっても、資格取得を目指す受験生の皆さんにとっても、変化の1年でしたね。


法改正から1年が経とうとしている今だからこそ、今年受験をした方や、これから受験を考えている方と一緒に「全国通訳案内士」という資格について考えていきたいと思いました。

  

そこで今日から1月中旬までのブログでは、「シリーズ:もっと知ろう!考えよう!『全国通訳案内士』」と題して、現在の全国通訳案内士を取り巻く状況や、仕事の現状について皆さんにお伝えしようと思います。

 

初回である今回は、True Japan Schoolの校長であり、日本最大の通訳案内士団体(IJCEE)の理事長でもある米原亮三氏がお伝えします。

全国通訳案内士法の業務独占廃止でガイドの仕事は変化したのか?

校長:米原亮三氏

 

12月9日に全国通訳案内士試験の2次試験を受験された方、本当にお疲れ様でした。True Japan School校長の米原亮三です!

 

早速ですが皆さん、そもそも「全国通訳案内士とは何か」考えたことはありますか?

今回は私と一緒に「全国通訳案内士の仕事の現状」について学び、考えてみましょう。 

 

全国通訳案内士試験を受験される方は、将来通訳案内士として働くことを目的としているはずですね。それならば、受験の段階から仕事の内容や仕組みを知っておくのは大変重要なことです。2018年に受験された方は、1次試験の新科目「通訳案内の実務」の学習を通して、通訳案内士法や旅行業法について学ぶことができていますので、これまでの受験生よりも業界について良く理解されていることと思います。

 

シリーズ第1回となる今回のテーマは、「全国通訳案内士法の業務独占が無くなり、通訳案内士の仕事は変化したのか?」です。答えはズバリこれです。

 

全国通訳案内士に対するニーズは変わっておらず、むしろ需要は増大している。

 

例えば、弊社を例に挙げてみましょう。True Japan SchoolはTrue Japan Tour 株式会社というインバウンド専門の旅行会社の予備校部門なのですが、このTrue Japan Tour 株式会社の報告によると、旅行における2017年度の全国通訳案内士の派遣実績が3,184人であったのに対し、2018年度は4,249人と134.9%に増加しました。このほか全国通訳案内士の人材派遣も大きく増大しています。

True Japan Tourの全国通訳案内士派遣実績

全国通訳案内士の需要が高まっているのは、何もTrue Japan Tour(株)に限ったことではありません。他の旅行会社においても全国通訳案内士の需要は高まりを見せており、ノンライセンスのガイドが仕事を代替しているという話しはほとんど聞きません。

 

法改正の直後、別の旅行会社からこんな話を聞きましたのでご紹介しますね。通訳案内士の規制緩和を受け、その旅行会社ではガイドのリクルートに際して無資格者に対しても門戸を広げたそうです。しかし結果は惨憺たるもので、無資格者は誰一人合格しなかったそうです。

 

それは何故なのか?無資格者の中には英語が本当にネイティブ並みに上手な方は沢山いたそうです。しかし、「では箱根について説明して下さい」「日本の戦後の歩みについて簡単に話して下さい」などという話を振った時に、まともに話せる人は無資格者の中には一人も居なかったとのこと。また、日本文化に関連する単語もコンテンツも全く不足している人ばかりだったとか…

 

その担当者は以下のように漏らしていました。これが私たちエージェントの本音と現実です。

 

「やはり無資格者は、しっかり勉強をして資格を取得し、取得後も継続して学習を続ける有資格のガイドには敵わないですね。無資格者をガイドとして雇うことはエージェントとしてはあり得ないです。」

 

さて、我がTrue Japan Tour株式会社では、既に2019年の案件の受注が始まっており、大量なガイド派遣依頼が寄せられています。しかし、対応能力の高い全国通訳案内士が不足しているのも実情です。これからのシリーズでは数回に分けて、全国通訳案内士を取り巻く状況やガイド派遣の実態について説明していきたいと思います。

日本最大の通訳案内士団体「NPO日本文化体験交流塾(IJCEE)」の紹介

 

ところで、True Japan SchoolやTrue Japan Tour株式会社についてお話しするとき、欠かせないのが日本最大の通訳案内士団体である「NPO日本文化体験交流塾(IJCEE)」の存在です。この団体についても、少しだけ紹介をさせてください。まず、True Japan School、True Japan Tour株式会社、そしてIJCEEという3つの組織の関係について簡単にご説明しますね。

 

True Japan Schoolは先述の通り、True Japan Tour株式会社というインバウンド専門の旅行会社の中の予備校部門です。そして、True Japan Tour株式会社は、IJCEEの会員様の出資によって設立された株式会社です。

 

この3つの組織は互いに関連しながら、「みなさんの資格取得→ガイドとしてのスキルアップ→ガイドとしてデビュー」を一貫してサポートしています。言うなれば、みなさんのガイドとして人生を「ゆりかごから、未来まで」トータルにサポートする組織なのです。ちなみに私、米原亮三はIJCEEの理事長でもあります。

 

さてこのIJCEEの会員数は2018年12月12日現在、1,724名であり、そのうち1,500名以上の会員様が全国通訳案内士の資格をお持ちです。

 

私たちの組織は、法律上としてNPOであり、特定非営利活動法人として東京都に登録して活動しています。特定非営利活動法第2条において「社員の資格の得喪について、不当な条件をつけないこと。」と規定されていますので、会員様の入会に際して、「全国通訳案内士に限る」等の条件を付すことは好ましくないと都庁から指導されています。

 

特定非営利活動法人日本文化体験交流塾は、国土交通省観光庁において登録・承認された全国通訳案内士の団体であり、JNTOのホームページにも研修機関として掲載されています。また、観光庁の主催する「新たな通訳案内士制度のあり方に関する検討会」の委員として観光庁から認可されています。

 

さらに私たちは、全国の通訳案内士団体の連携組織である通訳案内士団体ネットワークの世話人としても活動しています。私たちは、全国通訳案内士にとって最も大切なのは職業としての地位の確立であり、活動の場の提供だと考えています。

 

これからのシリーズ「もっと知ろう!考えよう!『全国通訳案内士』について」では、「全国通訳案内士の仕事の現状」をお伝えします。楽しみにしていてくださいね。

 

NPO日本文化体験交流塾 理事長 米原亮三(True Japan School校長)

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日本最大の通訳案内士団体「日本文化体験交流塾」のご紹介

  • NPO日本文化体験交流塾(以下、IJCEE)は会員数1,724名(2018年12月22日現在)を擁する日本最大の通訳案内士団体です。
  • 1,724名の会員様のうち、1,500名以上が全国通訳案内士の資格をお持ちです。
  • 全国通訳案内士の資格を持っていなくても、「外国のお客様に日本の文化を広めたい!」という志があり、私たちの理念「日本文化の継承・発展・創造」に共感して下さる多くの方が会員様として活躍されています。
  •  IJCEEは特定非営利活動法人として東京都に正式に登録をしています。
  •  IJCEEは2018年12月に創立10周年を迎えました。


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