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なぜ簡単だった!? 昨年の「通訳案内の実務」科目で高得点が続出したワケ

試験

2018年から1次試験に新たに加わった科目「通訳案内の実務」。

試験1年目の昨年は、とても易しい問題が出題されたことが話題になりましたね。True Japan Schoolの受講生の平均得点は45点以上(50点満点)で、満点を取得した受講生も大勢いました。

では、なぜこの科目、こんなに簡単だったのでしょうか?

2018年の出題を振り返りながら、一緒に考えてみましょう。


簡単だった理由は2つ!?

理由1:新科目導入に伴う経過措置的位置づけの可能性も…

通訳案内とは、英語で観光案内や通訳業務を行うことである

 2018年1月4日の通訳案内士法の改正に伴って、2018年度の試験から新たに「通訳案内の実務」が1次試験の科目として追加されることになりました。

みなさんもご存知の通り、全国通訳案内士試験の1次試験の本試験には、科目免除の制度がありますね。

科目免除制度について詳しく知りたい方はこちら

 

例えば、2017年度の試験で1次試験を通過したものの、2次試験で不合格になったAさんという方がいたとします。法改正前であればこのAさん、2018年度の試験は1次試験が全て免除となり、2次試験からスタートのはずでした。

しかし、法律が改正され新科目が1次試験に追加されたことにより、2018年度の試験では1次試験に巻き戻され「通訳案内の実務」を受験する必要が出てきたのです。もし、このAさんが「通訳案内の実務」に合格できなかった場合、2019年度の試験では全科目が戻って来ることになります。(下図参照)

■Aさんの例

受験科目 2017年 2018年 2019年
外国語(英語) ◎  免除 必要!
日本地理 ◎  免除 必要!
日本歴史 ◎  免除 必要!
一般常識 ◎  免除 必要!
通訳案内の実務

試験無し 

× 必要!
2次試験 ×  受験資格 無し  

2017年度の試験は法改正の前年ということもあってか、2次試験の合格率が著しく低下した年でした。

ですので、こういうAさんのようなケースの方が、2018年度の試験の受験生の中にはたくさんいらっしゃったはずです。

こういった状況の中で多くの受験生から「いきなり新制度になって乱暴すぎる!経過措置は無いのか!?」というお声が挙がりました。True Japan Schoolとしてもそのお声を観光庁に届けました。

 

そこで(ここからは、あくまでTrue Japan Schoolの予想ですが)、新制度に対する経過措置的位置づけとして、新科目の「通訳案内の実務」の出現が原因で2次試験に進めなかったということの無いように、試験問題を簡単にしたのではないか、とTrue Japan Schoolは考えています。(あくまでTrue Japan Schoolの予想です。)

理由2:2018年度の受験生が一生懸命対策したから!

そして、もう一つ大きな理由として考えられることに、2018年度の受験生の皆さんの努力が挙げられると思います。

 

いきなり導入された新科目。どんな試験かも全く分からず、当然過去問も無いわけです。

多くの受験生が、試験範囲として公開された観光庁テキストや、True Japan Schoolが監修した『全国通訳案内士試験「実務」合格!対策』を必死でお勉強されていました。

True Japan Schoolの公開模試や夏季集中講座も多くの方が受験され、満を持して試験に臨もう!という受験生の意気込みに私達スクールスタッフもパワーをもらっていました!

 

だからこそ、2018年度の多くの受験生が試験に合格し、かつ「実務の試験は簡単だった」と感じたのです。

True Japan Schoolの受講生に関して言えば、満点が続出した原因は受講生の頑張り以外の何物でもないと思います。

「通訳案内の実務」は本当に“簡単な”試験なのか!?

実は以外とそんなに甘くない試験問題

それでは、今年受験をされる方のために「通訳案内の実務」と言う科目、本当に簡単な試験なのかを検証していきたいと思います。まず結論から申し上げますが・・・

一般的な常識だけで解ける問題ばかりでは決してなく、きちんとした対策が求められる科目である。

2018年に出題された問題を幾つかご紹介しますね。


Q1:著作権法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 著作権の目的となっている著作物は、私的使用を目的とした場合であっても、仕様する者が複製することは一切禁止されている。
  2. 他人の著作物は、著作権法で定める保護期間を経て、著作権が消滅したものについても、著作権を有していた者の承諾が無ければ利用することができない。
  3. 全国通訳案内士が、旅行業者の依頼により添乗業務を行う際に、著作権侵害行為をしたときは、侵害行為をした全国通訳案内士が罰せられる場合もあるほか、当該旅行業者に対しても法の規定による罰金刑が科せられる可能性がある。
  4. 国や地方公共団体の告示、通達等についても著作権法による保護の対象となる。

Q2:道路運送法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 貸切バスの運転者の連続運転時間は、6時間を限度とし、運転開始後6時間経過直後に運転を中止して休憩等を確保しなければならない。
  2. 貸切バス事業者は、貸切バスの実車距離が原則300kmを超える場合は、交代運転者を配置しなければならない。
  3. 通訳案内業務において、旅行者から通訳案内業務に関する報酬を得た場合であって、運送名目の金銭を収受しない場合は、自家用自動車により旅行者を案内する行為は、道路運送法違反とはならない。
  4. 貸切バス事業者が収受する運賃及び料金は、乗車時において地方運輸局長等に届出て実施しているものであって、旅行中の行程の変更等により、当該貸切バスの運賃及び料金が変わる場合がある。

 


いかがでしたか?通訳案内の実務という科目は、こういった法律に関する問題の他にも、宗教や国ごとの特徴に関する問題や、危機管理や災害発生時の対応等に関する問題も出題されます。全てがいわゆる「一般的な常識」で解ける問題ばかりでもありません。

一方で対策が最も立てやすい科目であるという一面も…

他の試験と違って通訳案内士試験は情報が少ない…

ただ、この科目の一番の強みは「唯一、試験範囲がはっきりと定まっている科目である」という部分です。

試験範囲はズバリ「観光庁研修のテキスト」です。

ですから、しっかりとこのテキストを読み込むことで、対策することができます。

また、True Japan Schoolではこの観光庁テキストをもとに、昨年練習問題付きの『全国通訳案内士試験「実務」合格!対策』を(株)三修社より出版しています。

短期間での集中的な対策も効果的

 試験範囲が定まっているからこそ、指定されたテキストを読み込み、どこが出るのかを分析できれば、短期間での集中的な対策も効果的だと言えます。

 

今年全科目を受験される方については、5科目中どの科目に注力すべきなのかスケジューリングに頭を悩ませているのではないでしょうか?

それであれば、じっくり時間をかけるべきは外国語と地理、歴史です。

スピード勝負に出て勝機があるのは一般常識と、この通訳案内の実務であると言えるでしょう。

 

ただしこのスピード勝負、分析を一歩間違えれば奈落の底に落ちるので要注意!

 

短期決戦に賭ける方は、正しい講座やテキストを選ぶように心がけて下さいね。

2019年度の1次試験は要注意!

要注意

それでは、2019年度の「通訳案内の実務」試験では一体どんなことが起こるのでしょうか?

これもあくまで私達の予想ですが、2018年度より問題が難化することが考えられます。

 

True Japan Schoolは2018年から年に3回、公開模試を行っており、実務問題を作成するのは今回の7月模試で6度目となります。通訳案内の実務のようにテキストが定まっている問題に関しては、回を重ねる度に、新しい問題を作ることが難しくなっていきます。ですので、どうしても少しずつ問題が細かく難しくなってくるのです。

 

同じことは恐らく、観光庁の試験問題作成委員の方達にも当てはまるのではないかと考えます。

 

(だって試験委員だってみんな人間だもの・・・)

2019年の受験生がすべきことは?

2019年に「通訳案内の実務」を受験する方がすべきことは以下の2つです。

  • 「どうせ簡単な試験だ」と侮ること無かれ!
  • きちんとした対策で満を持して試験に臨め!

全国通訳案内士試験はとても厳しい試験です。1科目でも合格基準を下回ると、2次試験に進むことができません。

だからこそ一つ一つの科目に対して適切な対策を執ることが重要です。

果たして2019年度の「通訳案内の実務」科目がどうなるのか、それは誰にも分かりませんがきちんとした対策はきっと功を奏するはず。

今からでも十分間に合いますので、確実な対策で確実に合格をGETしましょうね!

合格一直線